カメ大公開(リクガメ編)リクガメの生態と魅力
それでは普段公開しないズータイムのリクガメたちをいくつかご紹介します。
①パンケーキガメ
分布:ケニア北、南西部からタンザニア北・中部
甲長:最大甲長17.8cm
1属1種の小型のリクガメです。パンケーキの名の通り、きわめて扁平な甲羅です。パンケーキと呼ばれるのはその見た目だけではなく、甲羅も弾力があり、一般的なカメのようにカチカチではありません。これは天敵などに出会うとすばやく岩の割れ目に入り込むためです。実際に飼育中も狭い石の間に入ったり、カメ同士が重なり合ったりと普通のリクガメとは全く違う生態を見せてくれます。標高1800m前後の内陸部で岩場の多い丘陵地、低山地、サバンナなどの乾燥地帯に生息しています。産卵は7-8月に1回1-2個の楕円形の卵を産卵します。パンケーキは人工飼料に餌付きにくく、葉野菜や野草をメインに飼育しています。
扁平な甲羅を利用して重なり合ったり、壁に寄り添ったりしている様子。すばらしい特殊化した進化を遂げたカメです。
重なりあった姿はパンケーキですね(#^^#)
②ヨツユビリクガメ
別名:ロシアリクガメ、ホルスフィールドリクガメ
分布:イラン、パキスタン、アフガニスタン、トルメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタンなど
甲長:最大甲長28cm
ギリシャリクガメと並びリクガメの入門種としてペットとしても人気が高い種です。寒冷地まで分布するリクガメなので、ある程度の耐寒性があります。太平洋側の地域では成体は周年屋外飼育も可能です。生後3年間は冬季は屋内飼育が安心です。しかし、北陸などの雪国では流石に越冬は難しいのでしっかり保温して飼育しましょう。四肢の爪が4本であることからヨツユビリクガメと名付けられました。本種はわかりやすく例えるとお饅頭のような甲羅の形をしたカメです。パンケーキガメに対してこちらはお饅頭ガメと私は勝手に呼んでいます(^^♪標高4000mの寒冷地から低地の荒地、ステップなどが主な生息地です。
③ケヅメリクガメ
分布:セネガルからエチオピアのサハラ砂漠周辺
甲長:70cm前後(最大83cm)
ゾウガメ2種(アルダブラ、ガラパゴス)についで大型になるリクガメです。私的に最もリクガメらしいリクガメではないかと思っています。長年飼育していますが、好奇心&食欲旺盛で飼育者の顔を見ると寄ってくるぐらい愛嬌があります。成長速度は驚くほど速いので、ケージで飼育できるのは3~4年程度です。それ以上は屋外の放飼場、冬季は屋内の部屋を用意する必要があります。左右の臀部(後ろ足の付け根)に大きな鱗が蹴爪状に発達しているのが名前の由来です。産卵は秋から冬に産卵し、1回の産卵で15~20卵ほど産卵します。
成長段階別のケヅメリクガメ。1年ごとにみるみる成長します。
ズータイムの屋外放飼場です。農業で使用する畔波を柵(壁)として利用しています。
食欲旺盛のケヅメリクガメ。毎日大量の餌が必要です。
臀部の蹴爪状の突起
④ヒョウモンガメ
分布:エチオピア、スーダン南部以南のアフリカ大陸東部、南部
甲長:60cm前後(最大甲長72cm)
亜種:ナミビアヒョウモンガメ、バブコックヒョウモンガメ
1属1種のケヅメリクガメに次ぐ大きさの大型のリクガメです。その名の通りヒョウ型模様の甲羅が特徴です。甲羅はドーム状に盛り上がる特徴的な形態をしています。海岸線から標高3000mのなだらかな高地にまで生息しています。ケヅメリクガメに比べると性格は神経質で恥ずかしがり屋です。産卵は1回に5-30個ほどで、1シーズンに2-7回産卵を行います。ケヅメと同様に小松菜などのたんぱく質が高い飼料で飼育すると尿路結石がおこりやすいので、高繊維低タンパク高カルシウムの餌(桑の葉はおすすめ)で飼育するのが理想です。私がいしかわ動物園の職員時代にチームで実験したデータでは、マズリのトータスダイエットという飼料で飼育すると幼体時の結石を100%抑えることができました。リクガメもインコ同様にペレットのほうが理想的なのかもしれません。当園では冬季だけ葉が調達できないので、ペレットに頼っています。動物の飼育は奥が深いですね。
当園で飼育中のバブコックヒョウモンガメたちです。
リクガメ飼育に革命を起こしたマズリのトータスダイエットです。これを使用してから幼体の死亡率がほぼ0になりました。決してマズリ社の回し者ではありませんが、リクガメ飼育者には絶対おすすめです。小松菜やニンジンだけで飼育するとかなりの可能性で結石ができていまいます。マズリの飼料も販売(小分け販売も可能)していますので気になる方はお問い合わせください(zootime2017@gmail.com)。野菜と併用してご使用しても効果ありです。
⑤アルダブラゾウガメ
分布:アルダブラ諸島
甲長:120cm前後(最大甲長123cm)
ガラパゴスゾウガメに次いで大型になるゾウガメです。ゾウガメの王様といっても良いのではないでしょうか。ケヅメリクガメを展示していても必ず「ゾウガメだぁ」と言っていただく方もいるくらいゾウガメの認知度は高いんだなぁと感じています。本種は甲羅は高く盛り上がり、小型の項甲板(こうこうばん)を持つことで、ガラパゴスゾウガメと区別できます。海岸近くから内陸部の低木の茂みや草地に生息しています。飼育していても浅い水に浸かるのを好むことから、野生でも水たまりや湿地にも生息していることが納得できます。
項甲板の有無でガラパゴスゾウガメと見分けることができます。
その名の通りゾウのような皮膚ですね。
腹甲の画像が1枚もご紹介していなかったので。背甲と繋がっています。
今度、カメの甲羅のしくみについても記事を書く予定です。
今回も最後まご覧いただきありがとうございました。
今後も動物たちのすばらしい生態や飼育方法などを中心に記事を書いていきます。
また会いましょう~☆
園長
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