【✎ターゲットトレーニング解説】イルカを事例に詳しく解説、ドッグトレーニングにもすぐに活用できます 𓀠オペラント条件付けやレスポンデント条件付け
【✎ターゲットトレーニング解説】
イルカを事例に詳しく解説、ドッグトレーニングにもすぐに活用できます 𓀠
オペラント条件付けやレスポンデント条件付け
みなさんこんにちは、
ズータイム園長です。
今回は私の飼育係の経験から現在でも活用しているトレーニング方法である『ターゲットトレーニング』について詳しくご紹介致します。
イルカをどのようにしてジャンプまで導くのかを解説します。
20代前半の園長(若い!おじさんになってしまいました(^-^;)
またTR(トレーニング)の基本となるオペラント条件付けやレスポンデント条件付けについてもご紹介します。
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〈イルカは野生でもジャンプをする理由〉
ではまずはイルカをジャンプまで導く前に、野生のイルカもジャンプをします。
そこには大切な理由があるんです。ジャンプをする役割は大きく4つに分けることができます。
①オスがメスに対してアピールする求愛行動
より高くかっこいいジャンプをしたほうがもてる=子孫を残せる
②水の抵抗を避けて長い距離を泳ぐため
水中を泳ぐよりも、ジャンプをして抵抗なく前に進むことができるため
③ただ遊んでいる
知能が高いイルカはジャンプを楽しんでいるとも考えらている。水族館でもよくエサの魚を投げて遊んでいる。
④※体をきれいにしている
これが一番重要だと考えらえている。
新陳代謝によってたまる垢(あか)や寄生虫を落としています。
つるつるで弾力があるイルカの皮膚は海水が当たる部分が流れに合わせて
凹み渦ができないようになっており、速く泳ぐことができます。ですから
できるだけ皮膚の表面を綺麗に保つ必要があるんです。
なぜそこまで綺麗にする必要があるのか?
→天敵であるシャチやサメから逃れるため、それからエサである魚類を捕獲するためにも
常にフルスピードを出せる必要があるんです。
ということでイルカが野生でもジャンプする理由も
すばらしい生き残り戦略だったというわけです
〈ターゲットトレーニングとは〉
ではそもそもターゲットトレーニングという言葉を聞いて、
回答できる方も少ないと思いますので解説しますね。
↑動画ではペットボトルと釣り竿で実際に作成してみました(^^)/
ターゲットいわゆる
目標物・的となる棒や道具、手を使って、
そこに誘導したり、
待機させて
健康管理(採血、観察、爪切り)を行ったり、
動物にとって
刺激的で楽しい時間を提供することもできるすばらしいトレーニングです。
私も様々な動物でターゲットTRをしてきました。
この画像はラッコに吻をタッチさせて誘導しています。
手がターゲットということです。ラッコも体重計まで誘導待機することも可能です。
その他園館では大型動物(ゾウやキリン、クマなど)も安全に健康管理するために柵越しに足や腕を出してもらうことも可能です。
私は鰭脚類(アシカ、アザラシ、オットセイ)、馬もこのTRを実際に行ってみましたが有効でした。
〈ほめる時に使う道具〉
TRでは褒めるタイミングがすべてといっても過言ではありません。
褒めるための道具は以下の3つに分けることができます。
①笛
一般的には犬笛を使用します。 犬笛は基本的には約30,000Hzの周波数なので人にはしっかり聞こえない音ですが、
犬やイルカには聞き取ることが出来るため使用さている。ちなみに人の耳は20,000Hzの音までしか聞き取ることができません。
犬笛も5400ヘルツから12800Hzぐらいに音域を変更できるものもあります。下記リンクのアクメの犬笛は私も長年使用していますがおすすめです。動画の犬笛もヒトにも聞こえますよね。
猛禽類(タカやフクロウ)の場合は、普通のホイッスルを使用しています。
★犬笛はやっぱりアクメがおすすめ
②クリッカー
指先で慣らすことができるので、動作が一番早く観ている方に築かれにくいのが特徴です。
カチっという音で動物にOKの合図を伝えることができます。
クリッカーはこちらがおすすめです。安価ですが効果抜群↓
③声(言葉)
言葉が理解できる知能が高い動物はOKやGOOD、
ヨシなどの声かけでも大丈夫です。
ただしTRを複数人で行う場合は発音やイントネーション、
声量などの違いで動物に伝わらなくて、
TRが途中で崩れてしまう場合があるので
笛やクリッカーがおすすめです。
詳細は動画で説明しました。
特に犬などの知能の高い動物は声で理解できますよね。
このターゲットトレーニングは犬にもすぐに活用できますので、
ぜひ今すぐやってみてください。
〈イルカを飛ばすためには〉
ではどうやってイルカを飛ばすことができるのかを解説します。
ターゲットTRの場合は吻(鼻先)にターゲットを触れて、餌を与えるということを繰り返し教えていきます。
ほめるタイミングは命です!ターゲットにふれた瞬間に笛をふきほめる→ご褒美(魚)を与えるを繰り返します。
下記に説明した条件付けを組み合わせて教えていきます。
【オペラント条件付け】
イルカが何か「行動」をした直後にご褒美を与えれば、
その「行動」をすれご褒美が与えられることを学習し頻繁に行うようになります。
ターゲットTRの場合はまずはこのオペラント条件付けで、吻にターゲットが触れれば
OKだといことを伝えていきます。
【レスポンデント条件付け】
オペラント条件付けと同時に、笛を吹かれた場合にOKだということも理解してもらう必要があります。
吻タッチを成功した瞬間に「ピッ」という音を鳴らして魚を与えます。
これを何度も繰り返すと、最初はイルカ達にとって無意味な「ピッ」いう音が、
次第にお魚をもらえるという情報を持った嬉しい嬉しい「信号」に変わってきます。
ジャンプの場合はジャンプが一番高いところで「ピッ」とほめてあげると効果的です。
しかし、知能が高いイルカは「低いジャンプでももらえるのでは」と知恵を働かせます。
このようなときは笛を吹かなければイルカはまた考えます「この高さのジャンプではダメなんだ」とまた学習していくわけです。
ということはイルカをより高くダイナミックなジャンプをさせるにはトレーナーの褒めるタイミング、いわゆるトレーナー腕にかかって
いるということがお解りいただけたでしょうか。
↑動画ではイルカさんと実演しております(^-^;
〈実際はターゲットなしでジャンプさせている〉
しかーし、イルカショーを思い浮かべてみてください。
イルカにジャンプをさせるためにターゲットを使用していない場合も多々ありますよね。
ではその仕組みについてもご紹介致します。
これはさらに条件付けを加えていく必要があります。
ターゲットTRの場合は、ターゲットに吻タッチ+笛の合図→ご褒美という感じで学んでいきますが、
そこにさらに自分の好みのアクションも加えていきます。
例えば上画像のトレーナーは右手を挙げていますね。
ここからは非常に根気がいるのですが、始めはターゲットは使いながら、手を挙げることも同時にします。
これを繰り返し行い、ある時に手だけを挙げてもイルカは飛ぶ瞬間がやってきます。
その時に笛を吹き、たくさん褒めてあげます!
これでイルカたちはターゲットなしでも手を挙げただけでジャンプをするようになります。
〈ジャンプの高さや複雑なスピンジャンプはどうやるの?〉
では次はもっと高さのあるジャンプをさせたい場合や回転を入れたり、輪をくぐってジャンプをする場合はどのように教えているのでしょうか。
まず高さを出すのは仕組みとしては非常に簡単です。
ターゲットの棒を長くしたり、天井からターゲットを吊るしてタッチさせるTRを続けていけばおのずと高いジャンプをしてくれます。
そして、複雑なジャンプは空中では教えるのは困難ですね。
ということは、
水中で教えてしまえばいいんです!
水中でターゲットをくるくる回して体を回転させることから教えていき、
これにジェスチャーやジャンプの条件を加えていけば、ジャンプしながら回転することも可能なわけです。
ここまで読んでいただいた方は、今度イルカショーをご覧になる時には違う感覚でより楽しむことができると思います。
トレーナーの動きやイルカのジャンプの高さ、意欲なども感じとってみてください。腕のあるトレーナーほどイルカたちも活き活きしていますよ。
またすべての種目はどのように教えているのかを想像するだけで本当に楽しいですよ。
そしてあくまでも私の考えですが、
ターゲットトレーニングは、すべての脊椎動物で可能です!
私はショーは好きではありませんが、
動物たちの健康管理やエンリッチメントとして活用されるのならば良いですね(^^♪
ぜひもし飼育されている動物がいれば試してみてください。
粘り強く継続していけば動物の刺激にもなり、より良い関係を築けるはずです。
では最後までご覧いただきありがとうございました。
またこのブログでお会いしましょう~(^^)/
ズータイム園長
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