【0から学ぶ野鳥学③】 羽根のひみつ 役割、風切羽の仕組みの仕組み、紛綿羽、尾脂腺、換羽などを解説 藤井 匠也(ZOO TIME園長、動物教育講演家)

みなさんこんにちは

ズータイム園長です。

第3弾となる0から学ぶ野鳥学は『羽根のひみつ』に迫りたいと思います。

今回の講義内容は以下の4点を中心に解説していきます。

①羽根の役割

②なぜ飛べるのか

③お手入れ方法

④換羽について

ぜひこちらの番組をご覧ください。

今回も日本の野鳥をすべて認識している野鳥少年ハル(小学生バーダー)と一緒にご紹介させていただきました。

その他、フィールドで採集した羽や模型、撮影した野鳥映像を交えながら解説致します。

フィールドで採集した羽は種の同定は難しい物も多いですが、綺麗な模様も多く宝探しをしているようなワクワク感もあります。

きっとハルもそのような気持ちで採集しているはずです。

そして、季節や場所によってだいたい予想をつけて、羽図鑑で確認しています。

予想が的中したときは誇らしげに自慢してきます(^^)

子供の時のワクワク感は一生の宝物ですからね。

ハルが使用している図鑑はこちら↓

こちらは写真での図鑑なので、
非常にわかりやすいです。

こちらはハルが愛用している図鑑です。
イラストですがこちらも判別に非常に便利です。

こちらのフィールドサインの図鑑もかなり重宝しています。

足跡やペリットについても詳しく掲載されており唯一無二の図鑑です。

では記事でも『羽根のひみつ』についてご紹介していきますね📚

〈①羽の役割〉

まずは羽の役割から考えていきましょう。

いやいや考えるまでもない、飛ぶためでしょ!と思った方も多いと思いますが、

実は羽には生き残るためのたくさんの戦略が隠されているのです。

今回は6つご紹介致します。

【①保温】

卵やヒナの保温、自分の身体を寒さから守っています。

飛ぶことと同じくらい保温は大切ですね。

冬季の雪の中でも身近な野鳥たちも逞しく生きています。

雪の中のスズメたち

【②ディスプレイ】

ディスプレイとは求愛や雄同士の縄張り争いの時にみせる行動。

種によっても様々ですが、翼を大きく広げたり、鳴き声でアピールする鳥がいます。

今の時期ですとヒバリのホバリングしてディスプレイする姿が毎日観察できますし、

タンチョウの求愛ダンスもディスプレイとして有名ですね。

番組内では鳴き声なども聞けますのでぜひご視聴ください。

【③飛ぶこと】

飛ぶことはみなさん想像がつくと思いますが、

0から学ぶ野鳥学①渡り区分でお伝えした通り、

多くの野鳥たちが長距離を渡ります。渡ることによってより多くの餌の獲得や

安全な繁殖地へ移動することによって繁殖率を上げ生き残っているわけです。

番組内では長距離の渡りで有名なキョクアジサシについてふれました。

北極圏から南極大陸まで、往復で9万km以上もの距離を渡るキョクアジサシ

【④保護色】

羽は隠れるためにも役に立っています。

周りの景色に溶け込む保護色としての役割もご紹介致しました。

【⑤偽傷行動】

番組ではコチドリを例に偽傷行動についてもご紹介致しました。

まるで羽を怪我をしているかのように傾きて歩き、敵に自分に目を向けさせ、

ヒナを守る行動です。親鳥の愛を感じる行動です。

【⑥巣材】

巣材の中でも産座と呼ばれる、卵を産み落とす底面の巣材として羽は役に立っています。

卵やヒナには緩衝材としてや保温効果の役割があります。

今の時期はエナガやスズメ、カワラヒワなども巣材として羽をくわえている姿を毎日確認できます。

当園のコールダックの羽もいつの間にか野鳥たちが運んでくれているので掃除要らずです。

エナガの巣作りの番組はこちら↓

〈②なぜ飛べるのか〉

では次は鳥はなぜ飛べるのか?ということですが、

飛ぶための重要な羽『風切羽(かざきりばね)』をご紹介致します。

上画像のミサゴの風切羽を見本に解説いたします。

風切羽にも3種類あり初列、次列、三列があります。

役割は以下の通りです。

初列風切:推進力(進む力)→手のひら(掌骨)

次列風切:揚力(浮く力)→前腕(尺骨)

三列風切:飛行中の空気の乱れを防ぐ→上腕(上膊骨)

ズータイム収蔵庫から一部、羽の標本もご紹介いたしました。

だれの羽(翼)かわかりますか?正解は番組で!

尾羽についても解説致しました。

バランスをとったり、ブレーキの役割もあります。

その他にはホオジロ類の尾羽は両端が白色なんですが、

これは獲物となる昆虫などの節足動物を驚かせて捕獲するために役にたっているようです。

尾羽の使い方もいろいろですね。

〈③羽のお手入れ〉

次は羽のお手入れについてご紹介致します。

基本的には羽繕いをして羽を整えることが軸としてあるのですが、

番組内ではハルが紛綿羽尾脂腺についても紹介してくれました。

紛綿羽の先端は崩壊して耐水性,耐摩耗性に富む微小な角質の粉末となり、

羽を汚れや雨などから守ってくれている。特にハトやインコの仲間で顕著に確認できる。

番組内ではコールダックの尾脂腺をご覧いただけます。

結構肉眼でもはっきりわかるほどです。手で触れてみると本当に油が付着したかのようになります。

羽繕いの基本は羽と皮膚の間に空気の層を作ることによって保温効果を高めています。

〈④換羽〉

最後に1年に1回以上鳥たちは羽を新しいものに交換(生え変わる)しています。

この生理現象のことを換羽といいます。

フィールドで観察する野鳥たちでも夏羽や冬羽などで観察できますが、

生え変わりの経過はなかなか観察できないものです。

私は長年動物園の飼育係として様々な鳥類の換羽を観察してきました。

換羽の時期にはものすごい量の羽がケージ内に抜け落ちているので初めて見た時は病気かと思うくらいです。

ちなみにペンギンの換羽は下画像の通り、古い羽がもこもこになってくるのが特徴的です。

野生ではその間は水に入れないので絶食するのです。

いかがだったでしょうか。羽も知れば知るほど面白いですね📚

引き続き0から学ぶ野鳥学をお楽しみください。

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【0から学ぶ野鳥学】

①鳥類の渡り区分を解説📚 留鳥、夏鳥、冬鳥、旅鳥、漂鳥を理解しよう

②🔰身近なカモを知る【わかりやすい】14種+α これでカモの識別OK

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