【超蝶話⑤ プロから学ぶ標本作り】より美しく仕上げるための蝶の展翅方法 三上先生の超絶技巧(日本蝶類科学学会理事)

みなさんこんにちは、

ズータイム園長の藤井です。

今回も後世までお伝えしたい貴重な番組が完成しました。

日本蝶類科学学会理事 三上秀彦先生による『美しく仕上げるための蝶の標本の作り方』を実演しながら教えていただきました。

日本一、いや世界一と言っても過言ではない三上先生の展翅技術を学ぶことができる番組です。

間違いなく永久保存版です📖

夏休みの自由研究でもライバルに差をつけることができると思います。

超蝶話①で先生に解説していただいた世界三大美蝶たちの標本

昆虫はしっかり美しい標本を作成することで、科学的にもはじめて価値を見出すことができます。

先生はおそらく標本作りの大切さをお伝えするために展翅方法を公開してくれたと思っています。

みなさんも蝶の採集、標本作りに挑戦してみてください。

〈三上式 美しく標本を仕上げるためのポイント〉

三上先生の世界レベルの展翅技術はぜひ番組をご覧いただきたいのですが、

記事ではポイントを6つにまとめました📖

今回は乾燥が進んだモンキチョウのサンプルを用いて標本作りを実演していただきました。

【ポイント①】

★展翅板は傾斜と平板の2種類を使い分ける

蝶の翅は表側から観ると平らではなく山なりに下がっているので、

表側の標本を作成する場合は、傾斜展翅板を用います。また裏側の標本を作成する場合は平板展翅板を用います。

一般の方は平板のみで作成する方も多いので、傾斜も使用することで普段より美しく仕上げることができるはずです。

※0号から9号までサイズがあるので、蝶の胴体を測定し溝幅に余裕をもって入るサイズの展翅板を選択しましょう。

蛾の場合は胴体が太いことも多いので、翅のわりに板のサイズは大きくなります。


【ポイント②】

★展翅テープは透明タイプの方が良い◎

展翅板に標本を貼り付けるためにに展翅テープという特殊なテープを使用します。

透明タイプとパラフィン紙(硫酸紙、グラシン紙)のタイプがありますが、断然透明タイプがおすすめです。

↓先生も使用しているおすすめの展翅テープがこちら↓

1号から6号までのサイズを選択してくださいね。

 
≪透明タイプの展翅テープのメリット≫
①ハリやコシが強く、綺麗に仕上げることができる
②湿度に強く、ふやけることがない。
③視認性が高いので細かい調整ができる。
④静電気が起きない(鱗粉が剥がれるのを防ぐため)
断然透明タイプですね👍

【ポイント③】

★乾燥が進んだ蝶の標本は筋肉を破壊して柔らかくする

標本にする蝶は採集してすぐに展翅する場合は、翅が柔らかく動き、そのまま展翅することができます。

しかし、大抵は乾燥が進んだ状態から始めることが多いため、

今回は乾燥が進み、湿潤器で湿らせても、注射器で水を注入しても柔らかくならない、

カラカラのモンキチョウを柔らかくする方法をご紹介していただきました。

ぜひ番組をごらんいただければと思いますが、翅の付け根の筋肉をデザインナイフで破壊します。

おすすめのデザインナイフはこちら↓

 
筋肉を破壊した箇所はそのままにしておくと、時間が経過すると翅がずれてきてしまうため、
展翅板に張り付ける直前に木工用ボンドを付ける。木工用ボンドは湿潤器に入れると再びふやけるため再度調整ができます。
木工用ボンドを水で1.5倍にうすめて使用するのがおすすめです。
 

 


 

※重要ポイント④】

★翅(前後)の位置を結んだ線に対して垂直に針を刺す

大抵の方は、胴体に対して垂直に針を刺しますが、三上式ではより美しく仕上げるために、

翅の位置を結んだ線に対して垂直に針を刺します。

番組と下のイラストを参考にしてください。

三上先生おすすめの針はこちら↓スフィンクスが目印

 
刺さりが良く、先生はこちらの針しか使用しないようです。
sizeは0号から7号まであるので、蝶のサイズに合った物を選択してください。
モンキチョウは2号針を使用しました。

【ポイント⑤】

★柄付き針はくの字に曲げる

先生は柄付き針を手作りで作成したものを使用されていました。

先端の針は普通の針をくの字に曲げたものを取り付けているそうです。

ぜひ番組でご確認ください。触角を微調整したり、翅脈を押して翅を上げたりするのにかかせない道具です。

今回はより綺麗に仕上げるためにということなのでここまでご紹介していただきました。

針が曲げてある商品もありました↓

DIYはハードルが高いのでこちらの商品は展翅に役にたちそうです。

 

※重要ポイント⑥】

★美しく仕上げる翅の位置を正確に調整

前翅と後翅をテープと針で固定する際に、美しく仕上げるための位置があります。

これは番組をご覧いただかないとお伝え出来ないぐらい微妙な位置なので、

記事でのご紹介はこれくらいにしておきます。


【ポイント⑥】

★触角をピンセットで引っ張って微調整

最後の難所は触角です。どれだけ綺麗に翅を展翅できても、

触角が決まらなければ美しい標本とは言えません。

ヒトで例えると高級スーツを着て着飾っても、ネクタイが曲がっていたり、しわしわだったら台無しですね。

触角の微調整は先生も経験がないと難しいと仰っていましたので、

取れたらボンドで直せば良いという覚悟で経験することが大切だということです。

標本用ピンセットはこちら↓

 
 

いかがだったでしょうか。

記事ではお伝えすることに限界があるので、
ぜひ番組を何度もご覧いただきながら挑戦してみてください。
 
ご多忙の中、ズータイムチャンネルのために神技展翅技術を公開していただき感謝申し上げます。
今後も超蝶話をお楽しみに♪
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〈今までの超蝶話〉

★【超蝶話①】昆虫採集が必要な本当の理由、世界三大美蝶、蝶と蛾の違いは?

★【超蝶話②】蝶の驚くべき生存戦略

★【超蝶話③フィールド編】「春の女神」ギフチョウの生態を体感

★【超蝶話④】ミドリシジミを10ⅿの竿で採集&標本へ

★【超蝶話⑤ プロから学ぶ標本作り】より美しく仕上げるための展翅方法 三上先生の超絶技巧

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